東光高岳技報 No.12 2025

変電所入退管理システム
東京電力パワーグリッド株式会社 全エリアへ納入

1概要

当社の変電所入退管理システム(以下,本システム)は,東京電力パワーグリッド株式会社(以下,東電PG)における変電所のセキュリティ強化と業務効率化を目的として開発したものである。2008年からの納入開始以来,システム提案から生産,工事,保守に至るまで一貫したサービスを提供し,お客さまのニーズに総合的に応えてきた。このたび,2025年10月に東電PG全エリアの変電所(約1,600カ所)へのシステム導入を完了する。

2製品の概要

本システムは,ICカード(社員証等)を用いて変電所の入退管理を効率よく行うためのソリューションである。変電所の扉近くに設置されたカードリーダにICカードをかざすだけで電気錠を解錠し,その情報は制御拠点に設置されたPC(以下,親局PC)にてリアルタイムで管理される。

3製品の特長

(1)FeliCa注1)対応ICカードによる入退管理

FeliCaはセキュリティレベルが高く,偽造が困難である。多くの企業で採用されているため,管理の負担を軽減し,導入コストを抑えることができる。

(2)設置場所への適応性

扉用機器は屋外使用に対応しており,門扉等への設置が可能である。

(3)セキュリティ強化

不正侵入が発生した際に親局PCへ通知するため,従来の施錠のみの管理に比べセキュリティが強化される。

(4)安全なカード管理

ICカード紛失時等には,親局PCでの操作により即時に当該カードを無効化し,不正侵入のリスクを軽減することができる。

(5)業務効率化

親局PCにて現地作業情報(作業内容,作業時間,作業者情報等)を事前に登録し,カードと紐づけ管理することができる。これにより,従来の紙ベースの管理と比較して業務効率が向上する。

(6)システム連携

入所者の有無に応じて接点信号を出力する機能を備えている。これをお客様のご要望により他設備に活用し,利便性を向上させることができる。

(7)互換性保持

モデルチェンジの際には互換性を保持し,変電所側の機器を追加・更新しても従来と変わらない運用を行うことができる。

図1 門扉への設置例
図2 建物扉への設置例
図3 電動シャッターへの設置例

4今後の展開

東電PGの変電所におけるセキュリティと業務効率の向上に貢献すべく,全エリアへのシステム納入を進めてきた。今後は,労働人口の減少に伴う業務効率化のニーズに応えるべく,さらなる機能向上を図る。また,他のお客様に向けても,これまで培った技術と経験を活かし,課題解決の支援に取り組んでいきたいと考えている。

■語句説明

注1) FeliCa:ソニー株式会社が開発した非接触ICカードの技術方式である。「FeliCa」は,ソニーグループ株式会社またはその関連会社の登録商標または商標である。

電力プラント事業本部

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