東光高岳技報 No.12 2025
JEC 規格準拠の
1概要
東光高岳は断路器メーカとして数多くの製品をお客さまに納入してきている。その断路器に用いるがいしは,主に国内がいしメーカから調達していたが,大手がいしメーカの生産縮小や価格高騰という環境変化が進んでいる。
そのような状況においても安定して断路器をお客さまへお届けするために,日本で初めてとなるJEC-5208:2022に準拠した海外製ステーションポストがいし(以下,海外製SPがいし)を適用した気中断路器(以下,断路器)の製品化・販売に取り組んでいる(1)。この取り組みは,2021年から海外がいしメーカPORCELANAS INDUSTRIALES S.A.(POINSA)と共同で始めた。
海外製SPがいしを適用した断路器にてJEC-2310:2014に準拠した形式試験を順次実施し,一部の断路器において製品化が完了しており,2025年7月に納入を開始した。初号機は東京電力パワーグリッド株式会社上高尾開閉所(群馬県富岡市)へ納品した(図1)。
(THR5形72kV 3,000A)
2特長
海外製SPがいしは,JEC-5208:2022に準拠しており,全高および取合い寸法ならびに電気特性および機械特性は従来の国内メーカ製作のがいしと同等である。断路器としても,耐震性能および耐電圧性能において従来器と同等であることを形式試験や参考試験にて確認しているとともに,既設断路器の取り替えも容易としている。
3今後の展開
今後の開発については,お客さまニーズを踏まえ海外製SPがいしの種類を増やしていくとともに,海外製SPがいしを適用した定格電圧120kVから550kVまでのがいし段積み構造断路器の形式試験を実施し,適用拡大に取り組んでいく。
現在の製品化状況を表1に示す。
| 定格電圧(kV) | 主な断路器形式 | 製品化状況 |
|---|---|---|
| 72 |
THR5,THR6※ THB7,THB8※ |
製品化完了 |
| 84 | ||
| 120 |
THR5,THR6※ THB7,THB8※ |
2026年度までに 製品化完了予定 |
| 168 | ||
| 204 | ||
| 240 | THB7,THB8※ | |
| 300 | ||
| 550 | THB2,THB3※ THB5 |
2030年度までに 製品化完了予定 |
■参考文献
(1)大山友幸,松本崇志,清水俊博,梶田聡,永田清志:「JEC規格に準拠した海外メーカ製ステーションポストがいしの開発とそれを適用した断路器」,東光高岳技報,No.11(2024)
電力プラント事業本部