研究開発
技術者インタビュー

AIを活用した画像認識技術への取り組み
~機器情報の読み取り手法について~

  • 高田 晃平
  • 中山 匡

近年、ビジネスや暮らしの中での導入を目指したAIに対する研究が、さまざまな機関で積極的に行われています。例えば、工場の製造装置の異常検知や予知保全、そして自動車の自動運転に対する取り組みなどがあります。
東光高岳では、業務効率化の実現やお客さまへのサービス拡充のために、AIの活用に対して取り組んできました。具体的には、製品の製造や在庫管理の効率化、製品の故障を事前に予測する予知保全に活用することを検討しています。

今回は、AIを活用した画像認識技術による、製品の銘板や管理用シールに記載された内容の自動認識・帳票化することを目標とした試みをご紹介します。

Technology

画像認識による製品管理に適したAI技術の選択とアルゴリズムへの適用

AIの要素技術として「機械学習」や「深層学習(ディープ・ラーニング)」があります。「深層学習」は「機械学習」の一部であり「機械学習」の発展形ですが、それぞれ一長一短があり、目的に応じて適切に選択をする必要があります。
今回は「深層学習」を活用した「物体検出アルゴリズム」と「機械学習」を活用した「マーカ検出アルゴリズム」を用いました。「物体検出アルゴリズム」は、画像の中から任意の物体の領域を検出します。認識したい情報が記載された領域を検出し、そこに対して文字認識などを行うことで、背景や模様を誤認識しなくなり、認識精度が向上します。「マーカ検出アルゴリズム」は、画像の中から特定の形状のマーカを検出します。「マーカ検出アルゴリズム」を用い「物体検出アルゴリズム」による検出範囲を限定することで、誤認識の更なる低減や「物体検出アルゴリズム」の検出精度向上が可能です。

Profile

  • 高田 晃平
    高田 晃平
    技術開発本部
    技術研究所
    ICT技術グループ
  • 中山 匡
    中山 匡
    技術開発本部
    技術研究所
    ICT技術グループ
    副課長

AIを用いた電力量計の銘板と管理用シールの認識

高田東光高岳では、AIを活用した業務効率化や予防保全の実現に向けた取り組みなどを進めています。私は入社して4年目ですが、2年目からAIの活用に関する研究に関わっています。今回は、製品の管理業務効率化(製品情報の自動認識および帳簿化)を目指し、AIを活用した画像認識による製品情報の認識を試みました。画像認識の対象としたのは当社製品である電力量計や製品の管理用シールで、AIには「機械学習」およびその発展形である「深層学習」を用いました。

中山「機械学習」や「深層学習」では、AIにデータを学習させ、そのデータに基づいた予測や認識などを行います。「機械学習」はさらに「教師あり学習」と「教師なし学習」に分けられます。「教師あり学習」とは、事前に収集したデータとそれに対する答えのセットを作成し、それをAIに与える手法です。AIは、データが与えられたとき、それに対応する答えを出力するように学習をします。一方、「教師なし学習」とは、答えの存在しない大量のデータを分析し、データの本質的な構造を知るための手法で、ビッグデータの分析などに使われます。今回は「教師あり学習」を用いました。

高田「深層学習」は「機械学習」に比べ、データをより高度に抽象化し、特徴を抽出して学習するため、高い汎用性や認識・予測性能が期待できます。しかし、データの高度な抽象化のためには、より多くのデータが必要になり、これが「深層学習」の弱点でもあります。
これに対して、データにあえてノイズを与えるデータの水増しや、他のデータで学習した結果を流用する転移学習やファインチューニングなどの手法があり、今回もそれらを用いています。

中山電力量計の銘板から情報が記載された領域を検出するAIについて、「深層学習」および「機械学習」を用いた検討を行いました。結果として、「深層学習」の「物体検出アルゴリズム」では、90%以上の信頼度が得られました。「機械学習」による「物体検出アルゴリズム」についても検討を行いましたが、撮影角度や光の当たり方などの細かな差異に対応できませんでした。「深層学習」によるデータの高度な抽象化は、そういった差異の吸収も可能な特長があり、信頼度の高い領域の検出に繋がりました。

高田一方、管理用シールに関しては「機械学習」と「深層学習」を併用すべきという結論に至りました。管理用シールのQRコードを「マーカ」として用い、それを「機械学習」の「マーカ検出アルゴリズム」によって検出します。その結果を利用することで、「深層学習」の「物体検出アルゴリズム」による領域検出の範囲を限定することができるため、背景による領域の誤検出などを低減することができました。

AIという未知の領域を習得し、新事業へとつなげる取り組み

中山AIに長年携わってきたという社員は当社にはおらず、また、AI自体が明確な結果が常に得られるような、高度に確立された技術ではありません。そのため、当グループ内では年齢に関係なく、AIについて一から学ぶところから始めています。AIに関するグループ内勉強会を行い、社外のセミナーに参加し、日々発表されるAIに関する製品や技術、論文などを調査しつつ進めています。AIの研究に携わるメンバーにはそれぞれにテーマが割り振られ、取り組んでいます。各テーマについて週に一回程度それぞれの状況を報告し、意見交換を行っています。

高田社内でAIを導入するうえで「AIを使えば問題を解決できるだろう」という、AIに対する漠然とした期待感が存在する部分もあります。しかし、AIを上手く活用し本格的に導入するためには、必要なデータの収集や適切な目標設定など、さまざまな課題をクリアする必要があります。こういった情報を伝えるために、年二回程度開催されている社内発表会で発表を行うなどの試みを行っています。

私たちは、AIの導入により社内の業務効率化やルーティンワークの削減につなげるという想いを持って取り組んでいます。人間はどうしてもミスをしますし、それは繰り返しの単純作業でも同じことです。AIに任せられる作業をAIに任せ、人間には人間にしかできない、より創造的な作業に集中できる環境の実現を目指しています。

中山AIを試しに少し導入して終わる、いわゆるPoC(Proof of Concept)止まりになってしまう可能性もあります。私たちにはAIに関する長年の経験はありませんが、社内の現場や製品開発者との距離が近いという利点があります。それを活かし、PoC止まりにならないよう、社内と連携して業務効率化や製品への適用を目指していきます。さらに、AIを活用した独自性のある製品やサービスを開発し、新たな事業へと繋げていきたいです。

最新の記事

ページの先頭に戻る