電力インフラ向け変電設備固体絶縁開閉装置(スマートSIS)

エポキシ樹脂により充電部を絶縁し、真空遮断器(VCB)を使用した高信頼度でコンパクトな高圧開閉装置です。縮小形においては、1987年に1号機を納入して以来、今日でも高い信頼を維持し運転されています。
当社では、更に信頼性を更に向上させ、操作性、保守省力化、コストにも配慮した固体絶縁開閉装置(スマートSIS)を2019年度に製品化しました。
特長
縮小化
高圧充電部はすべて耐候性の優れたエポキシ樹脂およびEPゴムで覆った固体絶縁方式を採用し、縮小化されています。(当社気中キュービクル据付面積比55%減)
安全性・信頼性
露出充電部がなく、エポキシ樹脂の表面は、メタリコン(金属溶射)による接地層を設けているため、感電の危険がありません。また万一、一線地絡事故が発生した場合でも、相間短絡事故へ進展しません。さらに、絶縁油を使用していないため、火災の危険がありません。
露出充電部がないため、汚損・塩害等の外部環境の影響を受けません。
省力化・保守性
遮断器機構に電磁操作方式を採用することで注油箇所が無く、保守性を向上しています。
機器制御回路をデジタル化(基板化・ソフト化)し、経年劣化を伴う電装品(補助リレー等)の数量を削減、また、装置内部の配線も極少化しています。
デジタル保護・制御の搭載とスマート化
オシロ機能や各種センシング機能を備え、保守点検や異常診断の効率化が可能です。
国際標準規格に対応
将来のデジタル変電所化に対応した国際標準規格(IEC61850)に対応しています。
装置間に必要であった多数本の制御ケーブルが、光LANケーブルに代替され、ケーブル施工が簡素化されます。
構成例

側面構造

システム構成

- 国際標準規格(IEC61850)に対応
遮断器操作機構の構造簡素化

- 構造簡素化(部品点数削減)
- 保守省力化(ラッチレス、グリスレス化)
- コンデンサの定期交換不要(コンデンサレス)
主な定格・仕様
区分 | 項目 | 仕様 |
---|---|---|
外形寸法(1H+8F) | 幅/高さ | 4.8m/1.6m |
奥行(本体/基礎) | 0.9m/1.6m | |
固体絶縁開閉装置 | 定格電圧 | 7.2kV |
定格電流 | 2000A(配電線600A) | |
定格短時間耐電流 | 12.5kA 2秒 | |
雷インパルス耐電圧 | 45kV | |
商用周波耐電圧 | 22kV | |
真空遮断器 | 定格遮断電流 | 12.5kA |
定格遮断時間 | 5サイクル | |
操作方式 | 電磁操作方式 | |
操作部 | 遠方、PC、手動開放 | |
適用規格 | JEC-2300、JEM-1425 ※ | |
断路部 | 操作方式 | 電動操作方式 |
操作部 | 遠方、PC | |
接地装置 | 操作方式 | 電動操作方式 |
操作部 | 遠方、PC | |
変流器 | 構造 | テープ絶縁、樹脂成型構造 |
定格負担 | 1VA | |
零相変流器 | 構造 | テープ絶縁、樹脂成型構造 |
計器用変圧器 | 定格負担 | 50VA |
避雷器 | 公称放電電流 | 10kA |
所内変圧器 | 定格容量 | 30kVA(or 50、60kVA) |
保護・制御 | 保護装置 | 機器上部搭載 |
インターロック | ソフト方式 |
※ : 機器の制御電圧の下限値に85Vを採用(JEM-1425準拠)
なお、保護装置の制御電圧の下限値は88V(B-402準拠)
センシング例
監視項目 | 検出 | 伝送 | 処理 | 効果 | |
---|---|---|---|---|---|
(1)遮断器開閉時間測定 | - | 補助接点 | LAN | ソフト | 点検作業の自動化 |
(2)挿入・引出装置動作時間測定 | - | 補助接点 | LAN | ソフト | 点検作業の自動化 |
(3)接地装置動作時間測定 | - | 補助接点 | LAN | ソフト | 点検作業の自動化 |
(4)可動箱内温度・湿度 | ○ | 温湿度センサ | LAN | ソフト | 中長期寿命評価 |
(5)断路部温度・湿度 | ○ | 温湿度センサ | LAN | ソフト | 中長期寿命評価 |
(6)地絡兆候検知 | - | ZCT、EVT | メタル | ソフト | 異常診断の効率化 |
○: センシングのために追加するもの
-: 機器に関わっているもの